任意後見監督人について
成年後見制度には2つの種類があり、判断能力が十分ある段階でご自分の意思で後見人を指定しておけるのが「任意後見制度」です。この制度を利用する方を「被後見人」、後見人に指定された方を「任意後見人」といいます。
任意後見制度では公正証書による任意後見契約を締結しますが、契約を締結した時点で任意後見人としての業務が始まるわけではありません。
被後見人の判断能力が低下した際に家庭裁判所へ「任意後見監督人選任の申立て」を行い、任意後見監督人が選任されてからとなります。
任意後見監督人は任意後見制度を利用する際は必ず選任してもらう必要があるため、被後見人やその配偶者、四親等内の親族、任意後見人に該当する方は速やかに申し立てを行うことが重要です。
ここでは、家庭裁判所によって選任される任意後見監督人の役割や報酬についてご説明いたします。
任意後見監督人の役割
任意後見監督人の役割は何かといいますと、任意後見人が任意後見契約において取り決めた内容通りに適正な業務を行っているかどうかを監督することです。
財産目録等を任意後見人に提出してもらい、家庭裁判所に対して定期的な監督状況の報告を行ったりします。
また、被後見人と任意後見人が利益相反にあたる法律行為を行う場合には、被後見人の代理となる存在でもあります。
このような役割を担う立場であることから、弁護士や司法書士、社会福祉士等の第三者が選ばれるケースがほとんどです。
任意後見監督人の報酬
報酬については、任意後見監督人から請求があった際に家庭裁判所が判断・決定をします。
管理財産が5,000万円以下の場合は5,000円~2万円程度、それ以上の場合は2万5,000円~3万円程度(いずれも月額)となることが多く、決定した報酬は被後見人の財産から支払われることになります。
くり返しになりますが任意後見契約を締結したとしても、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てをしてからでないと任意後見人が財産管理や生活支援等を代行することはできません。
判断能力の低下がみられた際には必ず申し立てを行い、任意後見監督人を選任してもらいましょう。