よくある遺産相続トラブルについて
財産の種類によっては多額の金銭が動くことになる相続では、さまざまなトラブルが生じる可能性があります。また、手続きが複雑化することで、予想以上に時間や手間を要してしまうケースも少なくありません。
では、実際に遺産相続が開始されるとどのようなトラブルが生じることになるのか、以下にてご紹介いたします。
よくある遺産相続トラブル
ケース1:戸籍収集したことで相続人が増えた
相続手続きで必ず用意することになるのが、被相続人の戸籍謄本です。被相続人の戸籍謄本は誰が相続人になるのかを証明するためのものであり、収集することによりご家族ですら知らなかった以下のような事実が明らかになることも珍しくありません。
- すでに離婚した妻との間に子が存在した
- 被相続人の兄弟姉妹が相続することになったがすでに亡くなっており、10名以上の代襲相続人が存在した
- 被相続人に愛人がおり、産ませた子を認知していた 等
上記のようなことがあると当初の予定通りに遺産分割を行えなくなったり、話し合いをしようにもなかなか進行しなかったりといったトラブルが生じてしまう可能性があります。
戸籍収集の段階で上記のような事実が明らかになった場合には、相続手続きを始める前に相続の専門家に相談したほうが良いでしょう。
ケース2:面識がない・連絡のとれない相続人がいる
相続人に該当する方は遺産を承継する権利を有しているため、面識がなかろうが連絡がとれなかろうが相続人である以上、遺産分割協議に参加してもらわなければなりません。
遺産分割協議において合意に至った内容は「遺産分割協議書」という書類を作成し、とりまとめることになりますが、協議書には相続人全員の署名・押印と印鑑登録証明書が必要です。面識がなかったり遠方に住んでいたりする相続人がいる場合には、メールや電話、手紙などの連絡手段を用いて参加してもらうのもひとつの方法だといえるでしょう。
しかしながら、まったく連絡をとることができない相続人がいる場合には相続手続き自体が滞ってしまうため、遺産分割調停や遺産分割審判を検討することになります。
ケース3:遺産分割の割合に決着がつかない
相続には「法定相続分」というものがあり、その割合は相続人の数やケースによって異なります。
遺産分割を行う際に相続人全員が「法定相続分で良い」と納得すれば良いですが、相続人のひとりが被相続人の介護をしていた、同居していたなどの場合には、話し合いに決着がつかない可能性も考えられます。
話し合いを続けているうちに冷静な判断ができない状態にまで発展してしまった場合には、間に弁護士を立てることも検討する必要があるでしょう。また、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行い、具体的な解決策について提案してもらう方法もあります。
ケース4:相続財産の大半が不動産
預貯金や現金のように細かく分割できない不動産を複数名の相続人で相続する場合には注意が必要です。不動産を分割する方法としては、以下の3つが挙げられます。
- 「代償分割」
相続人のひとりが不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法。不動産の価値によって代償金の額は変動します。 - 「換価分割」
不動産の名義変更を行った後で売却・現金化し、その金銭を相続人で均等分割する方法。 - 「共有」
不動産を複数名の相続人の共有名義で相続する方法。
いずれの方法を選択したとしても、少なからず揉めてしまう可能性があります。
不動産の分割方法に悩まれる際は、相続の専門家に一度相談したほうが良いでしょう。
ケース5:被相続人に借金がある
被相続人が抱えていた借金が預貯金や不動産などのプラス財産を大きく上回るようであれば、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄には被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内という期限が設けられており、それまでに被相続人の最後の住所地を管轄区域とする家庭裁判所で申し立てを行わなければなりません。
相続放棄の手続きが完了すると最初から相続人ではなかったとみなされ、被相続人の全財産に関する一切の権利義務がなくなります。期限を過ぎると被相続人の全財産を相続することになるため、多額の借金等がある場合にはくれぐれも注意しましょう。
生前から想定できるトラブル
このようにさまざまなケースがみられる遺産相続トラブルですが、なかには生前の段階から想定できるものもあります。
遺産相続が発生した際に起こりうるトラブルを知っておけば事前に対策を講じておくことも可能ですので、いくつかご紹介いたします。
相続人となる子が複数名いる場合
遺産相続が発生した際に複数名の子が相続人となる場合には、以下のようなトラブルが想定されます。
- 遺産総額の大半が不動産
上記のケース4でもご説明しましたが、分割しにくい財産となる不動産を複数名の相続人で均等に分けるとなると、どの分割方法を選択したとしても揉める可能性は非常に高いといえます。 - 子によって介護等の負担に偏りがある
介護等の負担というものは、同居している子や近隣に居住している子に集中しがちです。
介護等を負担してきた子にしてみれば「みんなより多くの財産をもらいたい」という考えになりますし、他の子にしてみれば「身近にいるのだから当然」などというように、遺産についての話し合いがもつれるケースも少なくありません。 - 所有している財産を子のひとりが管理している
複数名いる子のひとりが生前に財産管理をしていた場合、遺産相続が発生した際に財産の隠ぺいや使い込みをしているのではないかと他の子から疑われてしまう可能性も考えられます。
離婚した妻と再婚した妻それぞれの間に子がいる場合
すでに離婚していたとしても、その妻との間に生まれた子には相続権があります。
ゆえに、前妻の子と面識がなかったり、その子に相続財産を渡したくないと考えていたりする場合にはトラブルに発展してしまう恐れがあるといえるでしょう。
ここまで遺産相続トラブルについてご紹介してきましたが、これらを回避する方法として挙げられるのが遺言書の作成です。遺言書は相続において何よりも尊重される書類ですので、作成しておけば大切なご家族やご親族がご自分の財産のことで揉めることもなくなります。
しかしながら兄弟姉妹以外の相続人には、相続財産を最低限受け取れる「遺留分」という権利が認められています。この遺留分を侵害した遺産分割を遺言書に記載してしまうと、遺産相続が発生した際に遺留分をめぐってトラブルになることがあります。
遺産相続トラブルを回避するために遺言書を作成する際は、これまでにたくさんの遺言書作成をサポートしてきた実績のある、堺なかもずシニアの相談窓口にお任せください。
知識・経験ともに豊富な司法書士がトラブルを未然に防ぐための対策や解決法、遺留分を顧慮した遺言書の文案についてご提案させていただきます。
初回相談は完全無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。